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911 : ◆vGTe9D4z5Y:2011/07/14(木) 18 25 05 907 「ソルが!どうして・・・そんな」 アリスの表情から笑顔が消える。明らかな動揺、この世界でセレネと会った時以上に 震える体を抑えるように両腕を手で支える 「私は・・・」 ソルを討てるか、その覚悟がお前にはあるか 問われているのはそういうこと。 ──足手まといは殺せ。敵の手に渡ったゴミなど生かしておく理由なんてないだろう? アリスの中のかつてのアリスが囁くようにそういう。 だが、迷わない。なぜなら、彼女は 「……救うよ。私の大切な友達を・・・好き勝手にさせるものか。だって、私は……」 彼のことが好きだから。そのこともまだ伝えてないから 「いくよセレネ、あなたにソルを殺されたらたまったものじゃないもん。──そんなことしたらあなただって許さないから」 決意したような瞳でアリスはそう言った 912 : ◆OLze.DQMEw:2011/07/14(木) 18 28 51 899 「やっても意味がないと思いますがね?」 突如、ワールドとフールの背後から声がし、続いて銀髪の男が現れた。 「そんなことに彼らが関心を持つわけがないでしょう?」 男はサングラスをしている。サングラスの中の瞳は見ることはできない。 「しかし、もったいないことをしましたね。マジシャンの能力は手数を揃えるのには良かったのに」 913 : ◆FB0Vu0hpIc:2011/07/14(木) 19 27 39 912 「ジャッジメントか。……フッ。確かにあなたのおっしゃる通り、我々はその様なガラでは無いな。しかし驚いた。いつからそこに?フールとお楽しみ中だったのだがね。ノックぐらいして貰えると助かるのだが」 「はぁ?どこがお楽しみ中なのよ、このバカやろう」 クロノはそう言っているが、まぁ実際は特にこれと言って見られて困る様な事はしていないのだが。 「確かにマジシャンの電子戦における適正やハッキング技術は評価する。だが、彼女は人形の身分で少々つまらない事に固執し過ぎた様だ。そんな訳で機能不全を起こす前に“大変、不本意ながら”見切りをつけたのだよ?」 そんな事よりも―― 君も一杯どうだ?とでも言わんばかりにワイングラスをジャッジメントに差し出し、薦めてみる。 「どうかな。かなりのヴィンテージ物なのだがね?」 「……ああ!このバカやろー!!あんたTHE WORLDの機能でヴィンテージワインなんて造って遊んでたの!?信じられない」 914 : ◆FB0Vu0hpIc:2011/07/14(木) 19 31 42 911 「ふふふ……それでこそアリス様や。どうか、ソルを止めてやってください」 深々と頭を下げた。やはり、今のアリスは昔とは違う。なんとなく良い子になった 915 : ◆OLze.DQMEw:2011/07/14(木) 20 05 14 913 「これはこれは…頂戴しましょう。ただ…先にこれを」 ジャッジメントと呼ばれた男が手に持っていたリモコンのボタンを押す。 すると3人の目の前にある画像が映し出された。 そこにはアンドロマリウスとフラウロスが映し出されていた。 「この2機を恐らく先ほど見られたはずです。そして…」 再びボタンを押す。今度は赤茶色の機体が映し出された。 しかし、その機体は機体というよりも巨人に近いような外見だった。 「この機体…あなたはどう思われますか?」 916 : ◆tL.I1Fkj/Y:2011/07/14(木) 20 07 22 907-908 「盛り上がってるところ悪いけど、ちょっと良い?」 ともすれば百合の花が咲き誇りそうな場面に強引に割り入ってくる通信。 発信源は、深紅の巨人ディアビス。 注意深く見れば、その意匠が嘗て二人が戦った機体……ディスターに酷似している事が判るだろう。 「貴方達、セレネ・レスターとアスケラ・ルクバートで間違いないわね?」 ほぼ完全に断定している口調で確認を取るのは、紅の少女エルトロス。 こちらも、色彩は違えど顔立ちや雰囲気が彼女達のよく知る少女に重なる。 「そうだと言う前提で言うけれど……姉さんが、リュコス・アイカテリネが世話になったわ」 そう一息に言い切り、画面の向こうで優雅に一礼する。 尊大な言い方ではあるが、その声には感謝の気持ちが確かに込められていた。 918 : ◆FB0Vu0hpIc:2011/07/14(木) 23 40 34 915 「これの内の1機は確かアスクレピオス隊の時に反抗勢力アクイラプラネタとかいう組織に所属していた『ブルーフィスト』という機体だったか。……だがなそっちの一角の機体はなんだ?」 「ちょい待ち。……パッと見…どこと無くブルーフィストと似たような技術が使われてる気がするわよあの赤茶。人工筋肉の感じとかもさ」 フールは先の2機と後に見た一角の赤茶色の機体に共通点を見出した。 916 「…お前、まさか星間帝国の手のものか?……いや、何にも無いわ。気にせんといて」 エルトロスのディアビスは一剣士として決着を付けなければならぬ相手として定めていた星間帝国の白騎士。ディスターに酷似していた。 「あ……キミはもしかして、リュコスの……!?」 エルトロスの言っている姉さんとはリュコス・アイカテリネの事だろう 919 : ◆tL.I1Fkj/Y:2011/07/15(金) 00 15 47 918 セレネの発した言葉に一瞬険しい目を向けるも、エルトロスは直ぐさま頭を振る。 「……貴方が危惧する事は解るけど、安心なさい。私達は違うわ」 ――取り敢えず、彼方さんの背後事情は粗方掴めた。 そんな思いはおくびにも出さず、帝国の者である事だけをとりあえず否定する。 そして続けられたセレネの驚きの声に、透き通る笑みで答えるエルトロス。 「ええ、そうよ。私はエルトロス・アイカテリネ。リュコスの妹よ」 その笑顔は、殊更リュコスとエルトロスが姉妹である事を印象づける物であった。 920 : ◆FB0Vu0hpIc:2011/07/15(金) 01 24 38 919 「そう……妹さんなんや。ぁ、リュコスはどうしてるん。元気なんかな?……せやけど私はリュコスにあわせる顔なんて無い。……こんな事を聞く資格なんて無いんやったな」 通信の相手の笑顔は流石姉妹。リュコスのあの元気な明るい笑顔に似ていた。 その事がリュコスを鮮明に思い出させ、セレネの心には、彼女を裏切った事に対する罪の意識がどかっと雪崩の様に押し寄せて来るのだ。 5 : ◆OLze.DQMEw:2011/07/15(金) 22 35 38 918 「そう…この2機は似た特徴を持っています。 恐らく、一角の機体も我々がいた世界にいた機体…」 ジャッジメントが口元に笑みを浮かべる。 「この機体を調べれば有益な情報が手にはいるかと… 私にお任せしていただけないでしょうか?」 6 : ◆hrBR6tpC7Y:2011/07/15(金) 22 43 20 916 アスケラ「な、なんだってー!?りゅ・・・リュコスちゃんのお姉さん?」 7 :名無しになりきれ:2011/07/15(金) 22 51 24 920 姉の事を話してから、相手から感じる念は……これは、罪悪感? 背後事情はある程度分かっても、セレネが語る資格云々の話に思案を巡らせる。 相手の情報の大部分はリュコスから聞かされていた事である。 だからこそ、リュコスが分かれた後に何かあったのか……そう、エルトロスは当たりを付けた。 「勿論元気よ。貴方達の話は、何度も聴かされたわ。大切な、仲間だって」 だからこそ、敢えてエルトロスは姉から聞いたそのままの台詞を言い放つ。 そして、続けるように自分自身の言葉を叩き付ける。 「何に対して資格が無いって言ってるのかは判らないけど……姉さんの包容力、舐めんな」 私の姉は罪を認識して苦しむ人を見捨てるような薄情者じゃない……そう、言外に言い含めて。 暫く後、エルトロスはセレネに対して一つのコードを送信する。 「直ぐにとは言わないけど、決心が付いたらここに連絡しなさい。私が取り次いであげる」 それは、エルトロスに繋がる秘匿回線のコードだった。 誰に、何を、とは敢えて口にしない。多分、相手も理解してるだろうから。 6 アスケラの言葉にエルトロスはガクッと崩れそうになる。 「逆よ逆! 私が! 姉さんの! 妹ッ!!」 ガーッと咆えたてるように言葉を重ねるエルトロス。 その姿は何と言うか、年相応と言えなくもない代物である。 何となく雰囲気が親しみやすくなった気がするのは恐らく気のせいでは無いだろう。 9 : ◆hrBR6tpC7Y:2011/07/15(金) 23 34 21 7 アスケラ「ありゃ・・・そうなの。で、シンディさんも元気??そーいえば、どうしてアナタはリュコスちゃんと違って喋れるの???」 彼女は思い出した。エルトロスの姉は言葉を口に出来ず、シンディというAIとクリップボードを使ってコミュニケーションをとっていあことを 10 : ◆tL.I1Fkj/Y:2011/07/15(金) 23 44 39 9 「全く……シンディなら元気に働いてるわよ。で、姉さんのあれは特殊な事情だから、私には該当しない。よって私は普通に話せる。OK?」 また勘違いされたら溜まった物じゃないと、言い聞かせるように言葉を紡ぐ。 「ああ、それと姉さん今はもう普通に喋れるから」 そしてさり気なく爆弾発言をかます。 11 : ◆FB0Vu0hpIc:2011/07/15(金) 23 45 20 5 「何か考えがあるみたいだな。では、そちらの格闘タイプの機動兵器の件はあなたに任せよう」 クロノはジャッジメントの申し出を二つ返事で受ける。 「何よ、いいのクロノ?調べものならこの私がいるんだよ?」 フールは正直ジャッジメントの事を得体の知れない不気味な奴と思っていた。根拠は無いのだが反目の相がある。クロノには一度言った事が有るが、鼻で笑われた。 「君はここの所、特に体調が良くないだろう。THE WORLDの件で根を詰めすぎだ。この件についてはジャッジメントに任せよう。彼は私の最も信頼するアルカナなのだから」 こういう調べものをしたり知識を巡らせするのはフールの役目だったのだが何分、彼らも予期せぬ転移に巻き込まれた存在。 やらなければならない事は他にいくらでも有った。 7 「……!?“舐めるな”か?……ふふ。確かにリュコスはそれでも私を赦すんやろうな」 リュコスとはそんな少女だ。あんなに小さいのに何と言えばいいのか得体の知れない包容力があった。セレネが人間になれたのもその暖かさに触れたからかも知れない 12 : ◆hrBR6tpC7Y:2011/07/16(土) 00 03 45 10 11 アスケラ「な、なんですとー!!セレネ、これは事件だよ・・・事件!!!」 衝撃の事実の連続でアスケラはすっかりと腰を抜かしてしまった。 TEXチーム各員 レイカ「今・・・、キリマンジャロ基地から連絡が来ましたわよ。一度、帰投せよ・・・との事ですわ。」 13 : ◆FB0Vu0hpIc:2011/07/16(土) 00 16 02 12 「うんうん、やったんやなリュコスは。……シンディもよく無事で。あ……てゆうことはこのエルトロスに貰った連絡先にかければリュコスと会話する事が出来るって事やな」 アスケラと手を取り合って喜んだ。 14 : ◆vGTe9D4z5Y:2011/07/16(土) 00 16 55 12 「りょーかい」 ケイトはそう返信すると、基地へと帰還する 「・・・私たちは行かなくていいのか?」 続々と帰還していくTEXチームの面々を見ながら、アリスはつぶやく アルカナシリーズの狙いが、サイコドライバーであるなら、おそらく彼らも高い確率で狙われることになる 多少ではあるが、事情を説明したほうがいいのでは──という意を含んだ発言であった 15 : ◆hrBR6tpC7Y:2011/07/16(土) 00 24 45 13 アスケラ「セレネ・・・いつか、必ずリュコスちゃんに会いに行こうね!」 14 アスケラ「えーっと、アリスさんだっけ?アタシ達は下手にこの世界の軍隊に居ていいのかなぁ?それに、トウジくんを何とかしないと・・・」 あのトウジロウの様子ではセレネと共にTEXチームには行くことが出来ないだろうと思っていた。 因みに、アスケラはアリスの事をセレネと一緒に元の組織を裏切ったセレネの元上官程度にしか思っていない。 16 : ◆tL.I1Fkj/Y:2011/07/16(土) 00 34 44 11 「当然よ、なんたって私の自慢の姉だし」 その姿は実に誇らしげで、姉のことを心底好いていると言う事がよく解る物であった。 12 「そんなに驚く事……では有るわね、確かに」 アスケラの驚きように、深く肯くエルトロス。 思えば自分も最初に姉が喋れるようになった時には惨く驚いた物だ。 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ レイカから発せられた通信に、エルトロスは自分の方のログも見返す。 「あら、本当。無粋……とは流石に言えないわね」 自分の置かれてる立場を考慮すれば、間違っても言って良い言葉では無い。 しかしまあ、それでも自分を崩さないのがエルトロスらしさであるのだが。 「それで、そっちの三人はどうするの?」 エルトロスはセレネとアスケラ、そしてデュネイアスのパイロットに対して問い掛ける。 その声にはどちらにしても自分は構わないと言う思いが滲み出ていた。 15 「そう言えばバカトウジの件が残ってたわね……全く、世話焼かせるわね」 恐らくそう筋違いの怒りという訳でも無さそうなのがまた厄介極まる。 そう考えて、我知らず嘆息するエルトロスであった。 17 : ◆FB0Vu0hpIc:2011/07/16(土) 00 46 25 14 「そうやったな。そこの連邦軍の兵士ちょっと待ってもらえんかな」 「んぇ?なんですか……えっと。幽霊騎士さん?」 セレネは戦意の喪失したトウジのテンペスト・ドラグーンを引きずって帰還中の紫色の機体。グングニールを呼び止める。 「ああ。ランクの高い念動力者はあの鎧の機動兵器の格好の的になる。充分に気をつける様にみんなに伝えてもらいたいんや。……ええか?出来るかな?」 「……あ、はい。大事な事なんですよね。クーガー少佐に言わなきゃ」 「ほなまた。月の綺麗な夜に…」 それだけ言い残すとグングニールに早く行けと言わんばかりに手を振った 12 「聞いてたかな。キミぐらいの高い念動力を持つ者は狙われるんや。くれぐれも無警戒で油断をせんようにな。……リュコスの妹さんなんやったら尚更心配や。私個人も狙われてる以上、キミ達の側で護衛をする訳にはいかんのよ。……堪忍な」 紫亜にしただけでは頼りなさそうだったのでエルトロスにも話を通しておく 18 : ◆vGTe9D4z5Y:2011/07/16(土) 00 50 02 15 「こうして話すのは・・・はじめましてか、な。アスケラさん、セレネから話は聞いている、よ」 やはり、初対面の人間にはタドタドしい口調になる 自信の塊のような少女がこのような姿になっているのはひどく違和感があるだろう 「私は軍属になるつもりはないよ。もう他人から命令を受けるような仕事は・・・しないつもりだから」 そうしていると、人形だった自分に戻ってしまうような気がしたから 「でも、やっぱり状況は多少は話しておいた方がいいかもしれないって、ね」 そうしておいた方が自分たちも動きやすい 16 「はじめまして、私はアリス・ウィンザード・・・セレネの元上司だよ」 高い念動力をもつ少女に返答する 「私は、軍属になるつもりはないけど、正直事情だけは説明したほうがいいと思っている」 アルカナシリーズの狙い、その能力、おそらく教えられる情報は多い ──そして、私だけが知る情報も 19 : ◆tL.I1Fkj/Y:2011/07/16(土) 01 01 24 17 「ふぅん……解った、肝に銘じておくわ。注意ありがとね」 つまり、煌波を強めに放てば釣り上げる事も可能って訳ね。 そんな事を考えていたとはおくびにも出さずに礼の言葉を告げる。 18 「アリス・ウィンザード、ね……ん? その名前って……」 ……確か姉が語っていた敵の名前だった筈。 喉元まで出かかった言葉を呑み込み、エルトロスは頭を振る。 トウジとセレネとアリスの関係は、まあ大体理解できた。 「……まあ今はどうでも良い事ね。それじゃ一先ずデータだけでもこっちに渡してみる?」 情報は伝えたい、しかし行ったが最後軍属にされそう。 そんなアリスの不安に対して、妥協案を示してみるエルトロス。 20 : ◆hrBR6tpC7Y:2011/07/16(土) 01 03 49 17 18 アスケラ「アタシ、難しい話しはよくわかんないからパス!!」 自信満々の顔でおバカ宣言をするアスケラ 21 : ◆vGTe9D4z5Y:2011/07/16(土) 01 43 37 19 「んっ?私の名前に何か?」 アリスはこの少女がリュコスの妹であることを知らない 故に自分のことをしっているなど、夢にも思っていなかった 「そこまで気づくとは・・・あなた結構察しのいいほう?」 そう言うと、アルカナシリーズのデータを彼女の方に転送した。もちろん、詳細は隠してはあるけれど・・・ そう、軍とかかわりすぎれば、彼女も軍属に加えられてしまう可能性が高い これだけ大きな組織には守秘義務というものがある。それを知ってしまえば──結果は言わずもがな 20 「・・・あなたは考えなくて良いよ」 話す相手を間違えてしまった、とアリスはうな垂れるのであった 22 : ◆tL.I1Fkj/Y:2011/07/16(土) 02 04 15 21 「気にしないで、知り合いに似た名前の人が居たってだけの話よ」 嘘では無い。と言うよりアリスという名前はそれなりにポピュラーな名前だ。 実際彼女の知り合いにもアリスと呼ばれる女性は何人も居る。 「そうね、まあそれなりの場数は踏んでるから──」 察しの良い方と言われてまんざらでもない様子のエルトロス。 そうこうしている内に、データ通信が終わる。 エルトロスは、一言も発さずにメランにそれのコピーを指示した。 「──っと、確かに受け取ったわ。じゃ、一先ずはこれでお別れかしら?」 これ以上ここに留まっていては否応なしに艦へ連行される恐れもある。 そう言外に含ませて、エルトロスは言葉を返す。 「私はエルトロス……エルトロス・アイカテリネよ。それじゃ、また会いましょうねアリス」 ひらひらと手を振る姿は、いずれ再会する事を確信している様だった。 23 : ◆OLze.DQMEw:2011/07/16(土) 02 19 01 11 「承知いたしました。我が主…」 ジャッジメントは右手を胸の前に置き礼をした。 その頃… 【モプート】 レイたちはモプートに着いた。 「さて…迎えに来んのは誰なのかね…」 【アラスカ ジュワユーズ基地】 アラスカの氷原の地下深く…そこにジュワユーズの基地があった。 元々、DCの前線基地として建造されたものであり、規模は大きいものであった。 また、連邦はこの基地の存在を知らなかった。 アルベルトたちはすでにこの基地に着いていた。 「ルサカの支部が壊滅したそうだな?」 アルベルトが士官に尋ねた。 「ハッ。奇襲を受け壊滅したようであります。」 「どこの組織だ?」 「それが…データにないのです。」 「データがない…文字どおり謎ということか」 「申し訳ありません。今、調査をさせております。結果がでるまでには時間がかかるかと…」 アルベルトがタバコに火をつける。 「救援の部隊は?」 「ミカコニスから出ました。その後は我々の指揮下に入るそうです」 29 : ◆vGTe9D4z5Y:2011/07/16(土) 11 15 04 22 「多分、また会うことになるよ。だから、またね」 アリスも彼女とはもう一度会うだろうということが予想できていた。 念動力者同士は惹かれあう──なんてことではなく、アルカナシリーズの目的が念動力者であり、彼女がそれを狩る側、だからだ。 「と言っても、私にもいろいろ仕事があるんだけどね」 彼女が依頼を受けた仕事の中に、DC残党ジュワユースと呼ばれる組織への協力要請というものがあるのであった。 31 : ◆tL.I1Fkj/Y:2011/07/16(土) 14 05 15 29 アリス達に一先ずの別れを告げたエルトロスは、一路ホリゾントへと帰還する。 「……さて、次に会う時はまた味方かしら。それとも……」 何処か楽しげに笑うエルトロス。 その声には、どちらにせよ楽しい事になりそうだという感情が滲んでいた。 前 第5話 「刃―will―」 3 次 第6話 「闘覇の宴」 1
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ナナミ・コーン キャラ説明 ★は一枚制限カード。 キャラクターカード カード名 性別 マーク 属性 取得方法 1 2 3 ナナミ・コーン/異形の妹 両 恐 笑 奇妙 探偵物語3 ナナミ・コーン/超天然の才能★ 両 笑 衝撃 探偵物語3 スタンドカード カード名 取得方法 トリップダンサー/ナナミ・コーン 探偵物語3
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マクロスなのは 第29話『アイくん』←この前の話 『マクロスなのは』第30話「アースラ」 『誰かいませんか!?』 数台のエンジン音と共に、拡声器を介したティアナの声が耳に届く。 彼女の後ろにはEMPで立ち往生してしまった自動車を路肩に除けて、後方の輸送隊に道を作っていくバトロイド形態の消防隊所属VF-1C。 ここは先の防空戦闘によってめちゃくちゃになってしまった、三浦半島の南端に位置する町だ。 ―――――いや、だったと言った方が正確か。 ティアナの声に続いて上空からは消防隊のヘリとガウォークのVF-1Cの爆音が轟き、抱えていた水をぶちまけていく。救助活動が開始されてから今までの数時間に、数千トン以上の水を投下したと聞く。しかし完全に焼け石に水。周囲どこを見ても炎の壁が家だったものを包んでいた。 その中の一軒に大量の水が降り注ぎ、その延焼の度合いを弱める。そこでスバルは気づいた。 (あの家、ビーコンが発信されてない!) そこには救助隊が突入して、生存者の有無の確認を行ったというビーコンの発信がなかった。どうも周囲の火災の度合いが強すぎて、先遣の救助隊が近寄れなかったようだ。 『(ティアナ、ちょっとそこの家の中を確認してくる!)』 『(わかった。5分以内に戻ってきなさい。ここにそう長く留まれそうにないから)』 ヴァイスのバイクに跨りながら小回りを武器に、バルキリーを含む輸送隊の先の方で誘導するティアナは、少しだけ速度を緩めながら念話で返してきた。 『(了解!)』 輸送隊から離れたスバルは、その民家の玄関を拳撃で吹き飛ばし、内部に突入する。 周囲の温度は極めて高く、バリアジャケットなしではとても入れなかっただろう。そして同じように、この家の住人が簡単な魔導士であってくれたなら、対煙、対熱のシールドを張って未だに救助を待ってくれている可能性があるのだ。魔力反応はまったく感知できなかったが、あのEMP(電磁波ショック)の後では機器は信用できない。 もっとも、だれもいないことに越したことはないのだが――――― 「誰かいませんかぁ!?」 返事はない。 それに肉が焦げるような嫌な臭いが鼻につく。 (でも!!) 踏み抜きそうな脆くなったフローリングの廊下をさらに奥へ。 倒れた家具が道を塞ぐ。・・・・・・家具?いや、家の支柱だ。どうやらそれを隠していた壁は崩れたか、燃え尽きたかしたようだ。 本来壁だったのだろうその場所を、さらに奥に進んだ彼女が見たのは、1人の焼死体だった。全身炭化し、もはや性別もわからないその遺体に思わず歯がみする。 しかしその時、パチパチと家が焼ける音以外の〝声〟がした。その声は幼いを通り越して赤ん坊の声だった。それはどうやら遺体近くの金庫から出ているようだ。ドアの前には入っていたのだろう貴金属の姿。代わりに中に何か入っているのは明白だ。しかし開けるためのダイヤルの数字など知ったものでない。 (壊すか・・・・・・でももし中身が生き物なら、衝撃が危険すぎる) 加えて、天井から聞こえる建材が折れる音はまだ断続的なものだが、だんだんとその間隔は連続的なものになってきている。この家がその重量に耐えられない時が来ようとしているのだ。 猶予はない。ダメもとでノブに触れる。 「熱っち!」 素肌の部分が焼けるような痛みを訴えるが、この皮膚は人間のような脆弱なタンパク質ではない。戦闘機人の強靭な人工皮膚なのだ。 熱さに耐えてノブを捻ると、その強力な筋力を―――――使うまでもなかったようだ。それは何の抵抗もなくするりと開き、同時に泣き声のボリュームが上がる。 「よ~しよしよし・・・・・・」 スバルは水でぐっしょり濡れたタオルに包まれたその子を抱き上げると、対熱シールドで包み、自分のバリアジャケットの生命維持システムに組み込んだ。 「もう、持たないか!」 崩壊の音はすでに爆音に近い轟音を放っている。これに崩れられたらさすがに助からない。かといって来た道を戻って脱出するには遅すぎる。 こんな時どうするか? スバルは1つしか回答を持ち合わせていなかった。 「最短を一直線に、抜く!」 右腕のリボルバーナックルのカートリッジが数発ロードされ、そのフライホイールが高速回転する。 「ディバイィン、バスタァー!」 よく制御された魔力砲撃は六課に入る前のそれとは違い、ムラなく直線的に進路上のものを吹き飛ばした。 元から崩れそうなものをさらに壊したのだ。モタモタできない。砲撃を放った次の瞬間にはウィングロードを展開し、自ら切り開いた道を進む。その間も雪崩の如く建材が頭上に降り注ぎ、その進路を妨害する。 それらを撥ね退け、すすむ! ――――― ススム! ――――― 進む! しかし、あと5メートルというところで再びその道は瓦礫によって埋め戻されてしまった。 (畜生!) この崩壊の度合いでは退ける暇も、砲撃をする暇もない! やはり軽率だったと思わずにはいられない。一人ならともかく、救助した者の命も預かっているこの身なのだ。 あの時砲撃で壊さず、来た道を戻っていればあるいは――――― 後悔の念に押しつぶされそうになったその時、行く手の道に巨大な〝手〟が差し込まれた。そしてその一掻きは瞬時に脱出ルートから障害物を消し去ってくれた。 「脱出!」 煙と粉塵を払いのけて屋外へ。そのままウィングロードは上空まで伸びていく。 助けてくれたバルキリーは消防隊のVF-1Cではなく、フロンティア基地のVF-11のようだ。バトロイドの機首には獰猛なサソリを思わせるノーズアートが見えた。 すれ違いざまコックピットのパイロットに片腕を上げて礼を言う。 ここまで来ると助かったと油断するのが人の性。だがまだ終わってない。 「か、瓦!?」 向き直った目前には降り注ぐ無数の瓦。一時期ブームになった建材だが、今は勘弁してくれ。それにその後ろには倒れ掛かってくる家本体。 バトロイドの人はコックピットでコンソールを叩いている。どうも武装が動かずに悪態をついているようだ。 反射で頭と、抱いている形で確保されている赤ん坊をそれぞれ両腕で庇う。そして魔力障壁を展開。PPBSを最大出力! 数十を超える無駄に重い瓦で叩かれ、息つく暇もなく、倒れ掛かってくる家の屋根という物理的な圧迫力を前に、どこまで耐えられるか自信はない。しかし、それが己にできる精いっぱいの対策だった。 (どうかこの子だけでも!) ・・・・・・衝撃! 自身の上昇速度と、瓦の自由落下とで弾丸並みに重い衝撃が魔力障壁に降りかかり、フィードバックが体力と魔力を、そしてカートリッジを削っていく。しかし屋根はこんなものではないはずだ。瓦が割れていく轟音の中、覚悟を決める。 (あと屋根1つくらい・・・・・・このまま押し返す!) 根拠ゼロの覚悟の中、目標である屋根を見据えようと頭上に振り返ると一転 「あれ?」 そこには瓦とともに倒れてくる屋根など存在せず、大きく抉られた屋根だけが存在していた。 (あの抉り方は砲撃・・・・・・?) 角度から砲撃ポイントと思しき公道付近を見ようとすると――――― 『(スバル遅い!もう10分以上経ってるわよ!)』 バイクのアイドリング音と共に付近の公道から放たれた相棒の念話は、スバルに今度こそ、助かったのだという事を実感させた。 (*) 「まったく、フロンティア基地の人に気づいてもらえなかったら、どうする気だったのよ!」 「いやはや、面目ない」 2人乗りするバイクの前部で運転する、相棒の叱責すら心地よい。 あのフロンティア基地航空隊の人は防空戦からそのまま救助活動に参加していたそうで、今回は魔力砲撃の魔力を探知して、単体だった事から応援に来てくれたそうだった。 消防隊は魔力を探知する事はともかく、どのような魔法なのか、場所及び個数など、そんな分解能のいい装置なんて持ってない。そのためまさに幸運と呼ぶにふさわしい生還劇だったようだった。 「・・・・・・もっとも、スバルが1人で行くなんて言い出した時に、念話で周囲に展開してた部隊へちょっと口添えはしといたけどね」 前言撤回。 幸運なんかじゃない!やっぱりこの相棒は最高だ! 「やっぱりティアは凄い!大好き~!」 「こ、こら!いくら私でも事故る!お腹を必要以上に押さえるのはやめなさい!私達2人だけじゃないのよ!」 「そ、そうだね」 今背中には、あの火事場から救出した小さな命がある。この命を救えたことこそ、自分達がここに来た甲斐があったというものだった。 「・・・・・・それにしてもアルト先輩大丈夫かな?」 「そうねぇ。ライアンさんも他の同僚の人から撃墜されたとしか聞いてなかったみたいだし・・・・・・やっぱり通信網が回復しないとなんとも言えないわね」 「・・・・・・うん。でも今回の攻撃、何かおかしい。通信が遠隔地のどこにも繋がらないなんて・・・・・・」 今回の通信途絶問題、EMPによる通信機器破壊だけがその原因とは考えられなかった。事実、EMP範囲外で故障していないはずの自分達の機器も、1キロを超える電磁波無線通信を完全に断たれていた。 ミッドチルダ全域に有線網を持つMTT(ミッドチルダ電信電話株式会社)による調査では、自分達が知る限りでもこの現象は関東全域に及んでいるらしく、未確認だがそれ以上の範囲に及んでいる可能性があるそうだった。 おかげで現状使えるのは念話、半径1キロ未満の電磁波通信、あまり広まっていないためほぼ管理局のJTIDS(戦術統合分配システム)に限定されるフォールド通信。そしてMTTの有線通信網だけという、新暦100年とは何だったのかと突っ込みたくなるようなお粗末なことになっていた。 それに問題は通信だけではない。 「追いついたわね」 先ほど誘導していた輸送隊のトラックが見えてくる。大部分がコンテナ設備を積んだ大型トラックだ。 後方の中型トラックには道すがら回収した避難民が乗りこんでいるが、それはバスのようなものではなく、〝ディーゼル駆動〟の中型コンテナトラックだ。別にバスなどの車が徴用できなかったわけではない。 先のEMP攻撃は、この町を含めた半径10キロメートルにわたって軍用でないすべての電子機器を破壊しつくした。しかし、被害はそれにとどまらない。通常EMPはマイクロ秒単位で発生して瞬時に消えてしまうが、今回はそれの後、継続して被害を与えていた。先ほどの電磁波による通信と、次世代型大出力大容量バッテリーだ。 このバッテリーは従来の物と違って化学反応を用いないことで、一つで最大数百ボルトの電圧を得たり、充電することができる。 最近では原料から、どこかの世界の呼び方を踏襲して「フォールドカーボンバッテリー」と呼ぶそうだが、このバッテリーはクラナガンではシェア70%に及ぶ電気自動車に搭載されてる。具体的には民衆車、バス、通常2輪などの馬力を要求されない車だ。 ここで本題だが、今回、このフォールドカーボンバッテリーがこのEMP範囲内に入ると、たった数分で使い物にならなくなる現象が起こっていた。 おかげで災害出動した陸士部隊の輸送隊は軒並み立往生を喰らい、代わりに水素・石油など化石燃料車に依存する民間輸送業者が各地からかき集められていた。そのため目前を列を組んで走るトラックには「クール特急便」やらド派手な電飾を施した族仕様のトラックなど、シュールな光景が広がっている。自分達が乗るこのロータリーエンジン式バイクも現在水素で稼働しており、ヴァイスの趣味が功を奏した結果となっていた。 「前の方が騒がしいわね・・・・・・」 ティアナが言う通り輸送隊の前の方で人と救助ヘリの行き来が激しく起こっている。どうやら目的地だった小学校に到着し、先遣隊との合流を果たしたらしかった。 先遣隊は消防隊の大部分のVF-1Cとともに本職の消防救助隊が初動で動いたもので、本格的な病院設備は自分達がこのトラック達のコンテナ設備として持ってきた。 「先遣隊には転送でシャマル先生達も先に来ているはずだし、行ってみましょう!」 「うん。この子も預けなきゃいけないし!」 「そうと決まれば!」 アクセルを吹かして小学校への道をひた走る。そこに地獄が待っているとも知らずに――――― (*) 5時間後 三浦半島緊急避難指定小学校 楽しい休日になるはずだったこの日は、スバルにとって忘れられない地獄となった。 最初に言おう。はっきり言って自分の無力さを痛感させられた。 意気揚々と小学校に踏み入れてみれば、当然だが校舎が野戦病院と化していた。普段子供たちが学友達とともに学ぶ教室は集中治療室になり、「ろうかは走らない!」と書かれた廊下は、患者達の病室と避難民の収容設備となった。そして体育館は遺体安置所としてその機能を果たしていた。 空調がEMPでやられていたため形容しがたい悪臭がそこかしこから漂い、阿鼻叫喚の悲鳴がどこからともなく聞こえた。それでも合流したシャマルさん曰く、自分達が麻酔を始めとする様々な医療物資を補給して、改善された結果だというから二の句がつげない。 私達が来る前は一体どうだったというのか・・・・・・ 自分はその身体能力を買われて救助隊の手伝いをしたが、その仕事はなのはさんがデパートでの火災の時、自分を助けてくれたように、劇的で感動を呼ぶような憧れていた物では到底なく、ひたすら、ただひたすらに泥臭い仕事だった。名目こそ生存者の捜索と救助だが、実質遺体の捜索と鎮火への協力だった。 時間が経ち過ぎている。 それは痛いほどわかってる。だが、もっと他に、何か、こうならない方法がなかったものなのか? そう自問せずにはいられない。 『ガジェットは用がなければ家の中まで入ってくる可能性は極めて低いので、家の中で待機するようお願いします』 これは管理局が民間人に向けて行った行動指針だ。まぁ、その理屈はわかる。事実最前線で戦ってガジェットが理由なく故意に民間人の家を襲撃したりしたことはない。 今日自分達が少女を助けるために陸戦型ガジェットと召還魔導士と交戦したのは、ここから十数キロの地点。 次善の策として民間人が家の中に閉じこもるだろうこともわかる。 だが、その結果がこれだ。 防空ラインが少しずつ後退して、ついにはこの上空が戦闘空域となり、ガジェットとゴースト、バルキリーの墜落で発生した火災は、当たり前だが局所集中していないため鎮火には膨大な人手を要した。職務を離れる前に見た集計表によれば、他の避難所も足すと死者200人超、重軽傷者6000人弱、焼け出された避難民は約10万人らしい。 それにEMPによって通信網がマヒしていることが悔やまれる。あれがなければ発覚が速まって初動から大規模転送で救助隊を緊急投入できたはずだし、火災で有線通信網がズタズタになったここでも、リアルタイムで情報を共有することができたはずだ。バッテリーにしても陸士部隊などの災害出動した部隊が立ち往生せずに来てくれたらなど、ifは尽きない。 頭がこんがらがり、フラッシュバックする救助活動時の凄惨な現場のイメージを頭を振って振り払う。しかし簡単には離れてはくれない。助け出した人は十人以上。だけど――――― 「結局、命まで助けられたのは最初の1人だけだったな~」 思い出すは金庫に入っていた赤ん坊のこと。 今思えば金庫の前にあったあの焼死体は、あの子の母親だったのだろう。おそらく火災にまかれて進退極まった彼女は、子供だけでも助けようと思い、あの中に入れたに違いない。 赤ん坊が酸欠にならなかったのは奇跡に近いが、状況が状況だけに最善の策だっただろう。 救えたのはたったの1人だったけど、その存在はスバルにとって大きな救いとなった。 「なのはさんも、こんなこと思ったのかな・・・・・・?」 以前自分が被災した火災について調べたことがある。確か店側の避難指示が功を奏して死者はなく、避難時の混乱で骨折などのケガ人を数十人出す程度だったと記憶している。だが彼女のキャリアの中には、他の次元世界での時空震に対する災害派遣など、今回の都市災害を凌駕するような経歴が存在する。自分と同じとは言わないまでも、同じような経験をしているのは間違いなさそうだった。 「それでもなのはさんは、あんなに笑顔でいられるんだ・・・・・・やっぱり敵わないよ・・・・・・」 思わずため息が口をついて出る。 自らが憧れる人物の器の大きさに改めて感嘆し、自らが志望していたレスキューという仕事をこの心境で改めて六課を卒業した時、志望できるか不安になった。それどころかこの管理局という仕事に関しても、だ。 そう考えると意図せず頭が真っ白になり、その視線が外に向く。 小学校の屋上というロケーションは、残暑の暑さを感じさせぬ涼しげな風で額をなで、意識をその視界に集中させる。周囲は未だ所々で火災の跡がまだくすぶっており、先ほど交代した陸士部隊と、消防団のVF-1C。4時間前にやってきたフロンティア基地航空隊のバルキリー隊が生存者の救助、もしくは焼失・倒壊した民家からヒトを探していた。 ここから見るとバトロイド形態のバルキリーしかその姿を確認できず、暗い中をサーチライトで照らしながら作業する姿は孤独に思えた。 そこで、背後の扉を開く音に振り返る。 「ティア・・・・・・」 この最高の相棒は、今は珍しい化石燃料式バイクという小回りのきく乗り物を持ちこんでいたことから、伝令を行わされ、それぞれの避難所と救助活動の最前線、そして管理局地上本部のあるクラナガンとを繋いでいた。 「伝令はもういいの?」 「うん。治安隊の白バイと交代してきた。でもバイクは傷だらけにしちゃったし、燃料はすっからかん。ヴァイス先輩怒るだろうな~」 そう笑いながら隣に座る。 「・・・・・・それでさ、あんた、なんでこんなとこにいるの?何とかと煙は~って―――――!」 〝煙〟と聞いた瞬間、こちらの表情が曇るのがわかったのだろう。冗談は通じないと努めて明るく接してくれていた相棒はその表情を深刻にして、正面から両肩を掴む。 「ねぇスバル?まさかとは思うけど、バカな真似は―――――」 「大丈夫だよ。なのはさんが、ティアが、みんなが生かしてくれた命なんだ。粗末になんかできないよ。でもね・・・・・・でも、これからどうしたらいいのかわからないんだ。ねぇ・・・・・・わたし、何になりたかったんだっけ?」 「そんなの、私にはわかんないわよ」 「・・・・・・え?」 「私が知ってるのは人を助けよう、守ろうって努力するあなたの後ろ姿だけ。そりゃ今まで一緒にいてレスキューに携わりたいとか、なのはさんみたいになりたいとか、いろいろ聞いたわよ。でもね、それって私がちっちゃい時に『お兄ちゃんのお嫁さんになる!』って言ってたのと大して変わらないのよ。何になるのか、そういうことを考えるために、憧れのなのはさんがいる六課という研修所を選んだ。違う?」 「そう・・・・・・なのかな?」 「うん!まだ私達は何にでもなれるんだから!」 「そうだね・・・・・・これから、考えていけばいいんだ」 そう考えると、少し心が軽くなった気がした。 「・・・・・・そう言えばティアって昔の夢、お嫁さんだったの?」 「う、うっさいわね!そうよ!悪い!?」 「ううん。全然」 やってしまったという顔になって頬を赤らめるティアの姿に、いつの間にか笑顔にさせられていた。 救助活動を終えてからようやく笑えた気がする。本当にありがとう、ティア。 (*) 「そう言えばね、伝令やっている間に分かったことなんだけど、アルト先輩、やっぱり見つからなかったんですって」 あれからすぐ打ち明けられた真実に、スバルは思ったより冷静でいられた。 「そっか・・・・・・結局、あの時の恩返しできなくなっちゃったか」 「―――――意外ね、あんまり驚かないの?あんな殺しても死にそうになかった人なのに」 「まぁね。今回痛いぐらいわかったけど、人間って簡単に死んじゃうんだよ。「奇跡の生還」なんてのはアニメやドラマみたいなもんだけ。大抵はよほど準備してた結果であって、奇跡なんかじゃないよ」 「なんだ、醒めてんのね。弄りようがない」 ティアの肩をすくめる様子に一気に頭が過熱する。 (まさか死んだアルト先輩をダシにしようと?いくらなんでもそれは!!) 「ティア、いくらなんでもそれは酷いと思う。アルト先輩はそんな悪い人じゃなかったし、私達、何度も助けてもらって―――――」 言い終わらないうちにティアの右手が優しく左頬に添えられる。しかし肌に感じたのは相棒のぬくもりではなく、冷たい金属的な何か。 「ごめんなさい。そういう意味で言った訳じゃないの」 気付いてみればティアの顔には、自分に付けたのと同じであろう耳に掛ける方式のインカムがあった。 「ティア、これ・・・・・・?」 「JTIDSの端末機よ。陸士部隊の備品から貰ってきたの。これがないと、電磁波通信できない今の状態じゃ私達の座標を掴めないからね」 「??・・・・・・それって?」 どうも状況を上手く理解できない自分がもどかしい。頭を冷やさないと・・・・・・ 「まぁ、ちょっと待ってなさい。―――――はい、私です。―――――はい、もう見つけました。JTIDSの端末をつけさせたので、座標はえっと・・・・・・JMG00658の端末で固定してください。―――――はい、それでは転送2名、お願いします」 そうしてティアは、私の耳に掛けたインカムの番号を再確認しながらインカムの通話ボタンから手を離すと、面白そうに言う。 「スバル、じっとしてなさいよ。じゃないと〝何か置いてきちゃう〟かもしれないから」 「へ?」 (ただの転送魔法にどんな危険があるの?) 回転が遅い頭で疑問に思ったが、すぐに理由を知ることとなった。 突然体を包むように展開される円筒状のシールド。それに反応する間もなく、自らの体が青い粒子となって分解していく。 (え、えぇ!?) もはや喋る口もない。数瞬後には視界と意識は閉ざされていた。 (*) スバルとティアナ〝だった〟光の粒子達はシールドの内部で徐々に不可視の波へと変換され、シールド展開から1.5秒後、この世界から消滅した。 2人がいた場所は何事もなかったかのように、静けさに包まれていた。 (*) あれからどれぐらい時がたったのだろう? スバルは気づくと、光の粒子になった体は再生され、しっかり光るパネルの上に立っていた。 (パネルの上!?) 周りを見回す。そこは辺りが見渡せる開放的な小学校の屋上ではなく、無骨な隔壁が覆う、少なくとも室内だった。 「どうやらちゃんと揃ってるみたいね」 ティアナが後ろから肩を叩いて言う。 「え、ティア、これは─────」 「見ての通り〝転送機〟よ」 狼狽する自分を見て面白がるティアナは、足元の床と天井に付く丸い小さなパネルを指差して言った。 ただの転送魔法ならスバルはこれほど狼狽しなかっただろう。転送魔法は科学的には空間歪曲による〝空間の置き換え〟がその原理であり、最初から最後まで意識と実体を保ったまま転送座標の空間と自分の空間が置き換えられる。そのためほとんど自覚することなく転送は終始する。 エレベーターを想像してもらえばわかりやすいだろう。我々は階数を映すディスプレイと重力加速度の変化によって移動を自覚するが、それらが全くない場合、完全に自覚することなく移動を果たすだろう。つまり、エレベーターの高さ(Z軸)移動だけでなく、平面(X,Y軸)移動を可能にしたものが転送魔法だ。 しかしこの「転送機」は第6管理外世界が発案、製作したものだ。彼らは魔法が使えないため、まったく別の方法を編み出した。それにはフォールド技術である次元航行技術が用いられた。 転送シークエンスとしてまず、気流による物質欠損をなくすため円筒状の気密シールドを展開。次に分子レベルにまで転送物を分解する。そして構成情報をフォールド波に変換し、それを再物質化点に送る。再物質化時にはフォールド波の次元干渉する特性を使って、無から元素を生み出し再構成するという方法を採っている。 つまり転送魔法のように実体が行き来するのではなく、構成情報が行き来するためエネルギー量は圧倒的に少なくてすむ。 これは当に革新的な技術であった。 この技術があったからこそ第6管理外世界の住民、ブリリアントは恒星間戦争を有利に戦えたと言えよう。 しかし管理局では特定の次元航行船しか採用していない。なぜなら魔法が使える彼らには、どこでもある程度手軽に使える転送魔法の方が使い勝手がよかったためだ。 この転送機の真価は3つ。1つは情報の行き来のため転送可能距離が次元空間を介してさえ数千キロ単位であること、2つ目は魔法でないためAMF下にも対応できること、そして最後に、最大一括転送可能人数が20人を誇るため、部隊の高速展開ができることと言えよう。 「それで、ここはどこなの?」 その質問に答えたのはティアではなかった。 「L級巡察艦の56番艦、『アースラ』や」 「や、八神部隊長!?」 部屋の外から突然現れた上官に、ティアとともにあわてて敬礼した。 「うん、なおれ」 はやての許可に腕を降ろした。するとティアは物珍しそうに周りを見渡す。 「しかしL級巡察艦なんてまだ運用されていたんですね」 自分が知る限り、L級巡察艦は40年以上前に設計された次元航行船だ。 当時警察としての側面が強かった次元パトロール部隊(時空管理局・本局の前身)は、乗員が20人程のパトロール挺しか配備していなかった。しかしロストロギアを狙う次元海賊の勢力は強大になっていき、人数も艦自体に武装がない事も問題になってきた。 そんな背景から作られたL級巡察艦は、150メートルを越える当時としては大船だった。この艦は初めて常時2個小隊(50人)の武装隊と乗員を1年間無補給で養える空間が設けられており、当時輸送船に任していた武装隊の輸送と展開を円滑に行えるようになった。 そのため当時初めて採用された転送機と相俟って〝事実上の強襲揚陸艦〟と呼ばれ、海賊達の恐怖を誘った。 またこの艦には様々な魔導兵器が搭載されている。特に有名なのは『アルカンシェル』と呼ばれる魔導砲だ。この殲滅兵器は現在も管理局で最も高い威力を誇り、最新鋭のXV級戦艦でもこの砲は踏襲されている。 また、このL級巡察艦は全部で56隻が造られたが、ロストロギアに侵食・汚染されて自沈処理された1隻以外は対外攻撃によって撃沈された事はなく、生存性の高さは折り紙付きだった。 確か20年前より老朽化から、順次退役していったはずだった。 「違うんよ。本当ならアースラは、1カ月前に廃艦になる予定だったんや」 「じゃあどうして?」 この問いにはやては微笑むと、 「その辺の事は食堂に行ってから話そうか」 と告げ、廊下を歩いていった。 (*) はやてに連れられ来た食堂は、艦内とは思えぬほど広い空間に作られていた。 すでに席には、どんな理由か知らないが、今回の救助活動に前半しか参加していなかったなのはを初めとする隊長、副隊長陣にヴァイスや〝ふくれている〟ランカ、そして〝早乙女アルト〟がいた。 「アルト先輩!?」 「・・・・・・いよぅ」 どうやらすでに、ここにいる者の誰かから〝手厚い歓迎〟を受けたらしい。彼の左頬には真っ赤になった平手打ちの後があった。 「大丈夫ですか?」 「ああ、撃墜寸前にはやてに転送されたんだ。それで『死後の世界って案外に俗っぽい所だったんだ』って無駄に感心したりして─────」 「いえいえ、そうじゃなくて、〝ここ〟の事です。」 自分の左頬を指差す。 アルトは左頬を抑えて押し黙ると、ふくれている緑の髪した少女を見る。しかし彼女は 「アルトくんなんか、大っキライ!」 とそっぽを向いてしまった。 (*) 幾何学模様に変化する空。 次元空間内に設けられた巨大な空間には、中規模の次元航行船用停泊ドックが浮いていた。 以前は本局の前身である次元パトロール部隊が母港としていたが、組織の格上げと船体の大型化に伴い、20年前から管理局は使っていなかった。 今では第1管理世界に2番目に近い大型次元航行船の受け入れ港(1番目はミッドチルダ国際空港)のため民間船の多く停泊するこの港には、久しぶりに管理局の艦船が入って来ていた。 胴体に2本の腕を着けたような意匠のこの艦は、20年前まで造船されていたL級巡察艦という型だ。1番艦からの運用期間が40年以上という非常に息の長いこの型は、ここにある改修用ドックで運用できる170メートルにギリギリ収まっており、往年は軽快艦として活躍した。 そして今、このドックに停泊しているのは、この型の最後の船、56番艦『アースラ』だった。 (*) 「・・・・・・それで、なんでここに集めたんだ?」 アルトが少し不機嫌に、はやてに問う。 スバル達が来てからも、まだフロンティア基地航空隊のヴィラン二佐やミシェルなどの上級士官が、このアースラの食堂に集められていた。 アルトとしては戦死騒ぎで、来る人来る人の悪い意味での〝手厚い歓迎〟に辟易していた。 「うん、まずはレジアス中将の話を聞いてくれるか?」 はやてはそう告げると席に着いた。 レジアスは食堂に併設されている小さな舞台に上がるとスピーチを始める。 「あー、諸君。こんな大変な時になぜ突然、こんな所に呼び出されたか疑問に思っていると思う。だがそれだけ重要なことであると考えてくれ」 レジアスは公聴者達を見渡すと続ける。 「知っての通り、我が地上部隊はミッドチルダを守護するために設立された組織だ。しかし最近の情勢は良くなく、六課と、フロンティア基地航空隊のおかげで地上の治安は維持されている。だが諸君、あと〝たった半年〟で双璧の1つである六課は解体されてしまうのだ!残念ながら地上部隊には、今まで通り、現在の戦力をクラナガンに〝釘付け〟にし、維持させることはできない」 現在六課戦力はクラナガンに釘付けになっているが、他の方面部隊も強力な戦力である彼女らを必要としており、一点集中には限界であった。 「そこで、我々地上部隊は半年後をめどに、地上部隊の保有する六課戦力を合わせ、〝本艦〟をベースに特別部隊を編成する!」 レジアスの宣言に動揺が走る。これまで地上部隊は艦艇を採用したことはなかった。しかし問題はそれだけにとどまらない。六課と合わせる特別戦力。ここにフロンティア航空基地の面々がそろっているといことは───── 「特別戦力にはバルキリー隊を使う。そのためアースラは今から1カ月の改修をもって、バルキリー隊の〝移動航空母艦〟として運用する!」 ─────もはや誰も止められないところまで事態は進行していた。 (*) 「しかし、よくこんなお誂え向きの船を見つけられたな・・・・・・」 アルトの呟きに、隣りに座るランカが耳打ちする。 「この船はね、出張中私の艦隊の旗艦だったの」 かいつまむとこういうことらしい。 第6管理外世界へのランカの貸し出しを決定した本局は、ランカ座乗艦はいざ危険になった時に、安全に戦線離脱できる次元航行船がよいと考えた。しかし大型フォールドスピーカーやフォールドアンプ、ステージの設置などを行うサウンド仕様への新鋭艦の改装は元に戻す時に困難を極めるため、解体寸前のこの艦に白羽の矢がたったのだ。 そうして何事もなく戦争が終結し、最後にランカをミッドチルダまで輸送する任務を達成した後、このドックで解体される予定だった。しかしレジアスがランカを招待した会食の折りに、彼女が 「古くなったからって、解体されてしまうのはやっぱり寂しいですね。機関長さんが『まだ十分動けるんだ!』って座り込みをやってました」 という話題を提供したという。するとレジアスは食い付き、本局からアースラに残りたいという乗員込みで破格の値段で買い落とし、今に至るという。 (なんて大胆な男なんだ・・・・・・) アルトはある意味感心した。 彼が視線を舞台に戻すと、今度は技術士官が改装の概要を説明しているところだった。 「─────アースラにはディストーション・シールド(次元歪曲場)、サウンドシステム、航法システムなどがすでに完備されており、この辺りの改装は行いません。主な改装部はバルキリー用の格納庫の増設で、現在10~14機程度の運用を想定しています。また既存の対空魔力レーザーCIWSに加え、自己完結のブロック型ミサイルランチャーを─────」 そんな中、ミシェルが話しかけてきた。 「おまえ、これからどうする?俺としてはおまえには3期生の教導に回ってほしいと思ってる。そうすりゃあのヒヨコどもでも2~3週間ぐらいで─────」 ミシェルはそこまで言ってアルトの放った鋭い眼光に、言葉を発せなくなった。 「・・・いや、ミシェル。俺は前線を退くつもりはない。確か格納庫には予備の〝ワルQ(きゅー)〟(この世界でのVF-1の愛称)があったはずだ。あれを貰う」 アルトの視線が、隣に座る少女に注がれる。 彼女は壇上で、復活に涙するアースラ機関長の話に夢中らしい。まったく気づかない。 「俺はコイツを─────ランカを守ってやらなきゃいけないんだ。今日の事でよくわかった。俺はできる範囲でもいいからコイツを他人任せにしたくない。この手で守ってやりたいんだ。も─────」 〝もちろん、なのはやさくら達だって同じだ。〟と言おうとしたアルトだが、ミシェルの手が肩に置かれ、言えなかった。ミシェルはかつてないほどの笑顔を作る。 「そうか、やっとお前も〝心を決めた〟ようだな。あのプレイボーイが、うん、うん」 なんだかわからないが、ミシェルはしきり感心する。アルトにとっては、ただ自らの手で大切な人〝達 〟を守る事を、新ためて決意しただけなのに。しかしミシェルは、両方が勘違いしていることに気づかないうちに話を続けた。 「よし、お前の一世一代の決断に俺は乗ったぞ。今日、基地に帰ったらすぐ、技研の田所所長に連絡を入れろ。『例の計画の件で、ミシェルから推薦されました』って」 「そうするとどうなるんだ?」 「まぁ、見てからのお楽しみだ。とりあえず、(ランカちゃんを)しっかり守ってやれよ」 「なに言ってるんだ。当たり前だろ。(みんなを守っていくなんて)」 色恋に関して天然バカの早乙女アルトと、勘違いしてしまったミシェル。まったくもってお似合いの相棒だった。 (*) その後、今後の計画についていろいろと話し合われ、地上時間2200時をもって終了。 各自部隊へと帰還していった。 (*) 2314時 聖王教会中央病院 そこにはなのはとランカの姿があった。 2人の目的の1つは突然幼生化したアイくんの精密検査。そしてもう1つは保護された少女に関するものだった。 この時間の病院は消灯後であり、通常静かなもののはずだ。しかし三浦半島の市街地で出た重篤患者がここに集められて治療が行われていたため、今も忙しく人が行き交っていた。 「こんなに怪我人が出たんだ・・・・・・」 ランカは病院のロビーで全身に包帯を巻かれた人や、虚ろな目でベンチに寝かされながら点滴を打たれている人、etc、etc・・・・・・を見て呟く。 皆顔は暗く、項垂れていた。 「ランカちゃんがいなかったらもっと被害が出てた。だからランカちゃんのせいじゃないよ」 だがなのはのフォローもあまり効果ない。 確かにアルトが生きていたことは言葉に表せないほど嬉しかった。しかし今回の事件で200人以上の死者が出たことには変わりなかった。 ランカは俯こうとして自らの抱く緑の物体と目が合った。 それは愛らしく 「キュー?」 と鳴く。 「アイくん、励ましてくれるの?」 「キューッ」 アイくんは喜色をあらわに、肩に飛び乗ると、頬をすりつけた。 「にゃはは、かわいいね」 なのははアイくんだけではない。そんな緑色の1人と1匹を見てそう言った。 (*) アイくんは精密検査では異常は何も発見されず、ランカの持つバジュラの幼生に関する科学的データと比べても同じだった。唯一わかっているのは、縮んだのは元素分解による質量欠損であること。これは体表面にエネルギー転換装甲を物質操作魔法した時と同様の特殊な反応があったためだ。しかし『魔法を介さない元素操作は不可能』なはずだが、ランカには物質操作魔法の素養もなく、デバイスもシャーリーによると対応していないそうだった。 謎を呼ぶアイくんだが、〝動く生物(質量)兵器〟が無害化したのと同意のため、周囲は無条件で受け入れていた。 (*) 清潔な白一色の部屋。 俗に病室と呼ばれるその場所は、通常ベッド数が4の広い病室だったが、今ベッドは中央に1つしかなかった。 そしてそのベッドにも、不釣り合いなほど小さな女の子が1人、眠っているだけだった。 その部屋の唯一の扉が開かれ、2人の人影が部屋に入る。しかしそれでも少女は目を覚ます様子はなかった。 「・・・この子がそう?」 ランカはなのはの問いに頷くと、アイくんを伴って少女をのぞき込む。 医師によれば衰弱の度合いは低く、今日、明日にでも意識を回復するという。 まだ精密検査は行われていないが、この子が通常とは違う人の手によって作られたという可能性が第108陸士部隊のギンガ・ナカジマ陸曹からもたらされていた。現場から1キロ離れていないところで輸送業者の事故があり、そこで密輸されていた生体ポットの主が、あの少女だと言うのだ。 ギンガはベルカのボストンで唯一生体ポットと関係のある「メディカル・プライム」が〝何らかの事情〟を知っていると見て調査しようとしたが、それはなのはによって止められていた。なのはにはメディカル・プライムとの独自のパイプがあり、「公式の調査で相手を硬化させるより、そこから聞いたほうがよい」との判断であった。 まだ向こうとは通信していないが、なのは自身は〝恩人〟であるあの企業を疑いたくなく、少女が人造であるとはっきりするまでは聞かないつもりだった。 閑話休題。 アイくんは寝ている少女が心配なのか「キューッ」と鳴きながら張りついた。 そんなアイくんのぬくもりを感じたのだろうか?少女が口を開いた。 「ママ・・・」 だが意識が戻ったわけではなく、目を閉じたまま手が宙をさまよっている。なのははそんな少女の手を握り、 「大丈夫、ここにいるよ」 と呼び掛ける。 すると少女の腕の力は抜け、また眠りの底に沈んでいった。しかしその少女の顔は、なのは達が入ってくる前よりいくぶんか微笑んで見えた。 ―――――――――― 次回予告 VF-25という翼を失ったアルト しかしそれは新たに手にする力への序章に過ぎなかった! 次回マクロスなのは第31話「聖剣」 その翼、約束された勝利の剣につき――――― ―――――――――― シレンヤ氏 31話
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ある日、なぞの巨大宇宙物体が飛来し、それがやってきた地域が大変な目にあってると知ったなのはたち 軽く倒して終わらせようとしたのだが・・・・ 「あ・・・あなたはクウラ・・・!」 なんと、倒したはずのクウラが金ぴかボディーで復活していたのだ 回想シーン 「はははは!魔道師め!この俺が宇宙最強だ!」 「ぬああああああああ!!」 太陽に焼かれるクウラ 回想は終わる 「だが、脳が無事だった俺はこの機械惑星ビッグゲテスターのメインコンピュータと融合し、機会の体を得て復活したのだ まえよりも、さらに強くなってな」 そしてなのはとメタルクウラの大激戦が始まる ドカ!バキィッ!ズゴッ!ピシュン!なのはは瞬間移動を使うが クウラ「なに?貴様も使えるのか!?」 なのは「え?」 ドゴオッ!!なのははいきなり現れたクウラに顔面を蹴られる なのはも瞬間移動で応戦。瞬間移動を使うもの同士の戦いに だが、クウラが段々押してきた。なのははスーパー魔道師へ変身する 「やっと出たかスーパー魔道師 そうだ、そうでなくては面白くない! これで決まる・・・宇宙一強い戦士がな!」 激戦は続く。クウラはかつて使用したスーパーノヴァを発動 なのははなんとか避ける。だが、今度は気弾の連射だ! その連射をかいくぐり、クウラに近づき、思いっきり殴りかかる 「壊れたってしらないんだからーー!!!!」 バキィン!クウラの片腕が破壊される。だが、すぐに再生してしまう 「俺の破壊された体はビッグゲテスターのよって修復させる。前よりもさらに強くなってな」 強くなったクウラに追い詰められるなのは。首を片手で締め付けられ、持ち上げられる 苦しむなのはの顔を想像してくださいww 「アッー!ぅぁぁぁ・・・・・」 だが次の瞬間、なんとフェイトが助けに駆けつけた。クウラを蹴り飛ばし、なのはを救出する 2人で戦おうとするが、パワーアップしたメタルクウラは簡単には倒せない 徐々に体力を消耗していく二人。最後の賭けに出ることに 「いい?いくよフェイトちゃん・・・」 「わかってる・・・あいつをバラバラにするのよ」 2人に向かってメタルクウラが走ってくる 2人はクウラに向かって猛突進!クウラに激突し、バラバラにする。 だが、クウラには再生機能がある。再生させる暇もあたえず、2人は光線を発射 フェイトもさらに追撃する。フェイトはエネルギー弾を連発する 「消えてなくなりなさい!!!でぁぁぁぁぁぁぁ!!」 やっとの思いでメタルクウラを再生できないまでに粉々にした 「はぁはぁ・・・あんなやつもう二度と戦いたくない・・」 「気が合うわね・・・あ、あたしもあいつはごめんよ」 なのはとフェイトがいる場所から数百メートル離れた崖で、小石が転がる 「はぁはぁ・・・・えっ?」 崖を見ると死んだはずのクウラが立っていた 「ぁぁ・・・・・」 1体だけじゃなかった。無数のメタルクウラが次々に現れている 「へへへ・・・やっとの思いで倒したってのに・・・」 「め・・・めまいがするわ・・・」 クウラ「お前たちが倒したメタルクウラはビッグゲテスターが生み出したマシンのほんの1体 お前たちにこれだけのメタルクウラを相手する体力が残っているかな?」 メタルクウラの大群は、なのはたちをめがけて押し寄せてくる なのはたちは気合で吹き飛ばそうと試みるが・・・ 「ウォォォォォ!!」 「くそったれぇぇぇぇぇぇ!!!」 「・・・んぅ・・・ここは・・・」 気絶していたのか、なのははあの後自分がどうなったのかわからない ここはいったいどこなのか、真っ暗な空間。 体を動かそうとするが、動かない。 なのはは触手かコードっぽいものに体をYの字に縛られ吊るされていたのだ 「フェイトちゃん、いる?」 するとフェイトの声が聞こえてきた 「うん・・・あたしたちどうなってるの?」 やがて前方に謎の物体が・・・それは、顔だけ、しかもグロテスクな顔のクウラだった 徐々に明るくなる なのはとフェイトはお互いを見て顔が赤くなる 2人とも服がボロボロで、大事な場所をギリギリ守るかのように敗れた服が覆っていた そんな状態で縛られ、吊るされているのだ このシーンは一番の見ものシーンってことでwwこういうシーンの映像化を期待しましょうね 「あたしたちをどうするつもりなの!?」 「貴様ら魔道師の底知れぬパワーを使ってメタルスーパー魔道師を量産するのだ あと、ついでに読者にサービスシーンを見せてやろうと思ってな」 「ど・・・どうせ変なことするんでしょ!放しなさい!」 すると、2人は魔力を吸収される。縛られた状態でエネルギーを吸収されている 足の下から頭のてっぺんまで、2人の体を満遍なく写す 苦しむ表情もたまらないww 「ふはは!いいぞ!このパワーで宇宙を制圧だ!」 だが、さすがのクウラもエネルギーを吸収し続けるとショートしてしまう もうそろそろ吸収はやめようとしたのだが・・ なんとなのはとフェイトは自らクウラへエネルギーを送る 「な・・・やめろ!!これ以上エネルギーを吸収したら・・・うあああああ!!」 クウラはショートしてしまった。それと同時に、メタルクウラの軍勢は爆発してしまった コードから解放されたなのはとフェイトは、半裸状態で転げ落ちる 「ふふふ・・・もうあの金ぴかのクウラは助けに来ない・・・あなたの負け」 「ふ・・・ふざけるなよ!ムカツクやろうだ!!!」 そう言うと、クウラは無数のコードを形成し、体のようにする そして、コードでなのはを縛る。縛られすぎてなのはから血が出る 「あぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・!!!」 「ふふふふ、貴様ら魔道師が何をやったって無駄なのだ!絶対に勝つことは無理だ!」 「ぁぁぁ・・・」 縛られて苦しむなのは。だが、そこへフェイトが攻撃し、なのはをコードから救う 「あ・・・あたしたち魔道師を・・・な・・め・・ないで・・」 その場に倒れるフェイト。そしてなのはは最後の一撃のエネルギー弾を繰り出す 「無理だとわかっていてもやらなきゃならないときがあるの!!!」 エネルギー弾がクウラの体の中心へ。クウラは爆発してしまう 「ぬぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 とうとうクウラは完全に消滅した 半裸状態の2人ビッグゲテスターから何とか脱出し、 その辺で倒れこんでいた 終わり 単発総合目次へ DB系目次へ TOPページへ
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美少女版ナッパ「あいつめ・・・死にやがった」 フェイト「なさけないやつね・・ムシャムシャ・・たかが低レベルな魔道師に負けるなんて」 ナッパ「これからどうするの?」 フェイト「面白いこと言ってたわね、ジュエルシードって」 ナッパ「ラディッツを生き返らせるのね!」 フェイト「冗談言わないで、あんな役に立たないのはもういらない こんなのはどう?あたしたちが永遠の命を得て世界を支配する」 ナッパ「いいわね!それ」 ある惑星でひとアバレ。悪人を倒してくれたと星の住民は感謝。そのまま去っていく2人 ナッパ「この星は使えないわね、どうする?」 フェイト「消えてなくなりなさいクズ星」 星が消滅 フェイト「どんな星でも爆発するときは美しい・・」 単発総合目次へ DB系目次へ TOPページへ
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ある日ホイという老人があらわれ、オルゴールを開けて欲しいとたのまれるなのはたち 難なくオルゴールをあけるのだが、その中からあらわれたのは伝説の勇者タピオンだった。 同じ剣を扱うもの同士として、シグナムは彼に興味を持つが、 タピオンは他人を寄せ付けない態度である しかし、タピオンは体にとんでもない化け物「ヒルデガーン」を封印していたのだ その悲しみを知ったシグナムは、タピオンと交流を持つようになる タピオン(お前は強いな・・・シグナム) だがしかし、タピオンの体からついに化け物が復活してしまう。 なんとか笛の力で体内にヒルデガーンを一時的に封印したタピオン タピオン「シグナム、俺の体ごとヒルデガーンを殺してくれ!!」 シグナム「で・・・できない!!そんなこと・・・」 タピオン「たのむ・・・おれを勇者のまま死なせてくれ!!」 シグナムは刀を振り下ろそうとするが、間に合わずヒルデがーんは復活してしまう 暴走するヒルデガーんは、ホイすら踏み潰してしまう あばれ狂うヒルデガーンについになのはの怒りが爆発する 「うあああああああ!!貴様だけは、絶対に許せない!!」 シグナムはその隙にヒルデがーんの尻尾を切断する 「誰も手を出さないで!この化け物は私が倒すの!!」 そして、なのはは究極奥義、エクセリオン龍拳でヒルデがーんを撃破 タピオンが故郷へ帰る日がやってきた。 「シグナム!!」 「え?あぁ!」 タピオンはシグナムに自分の剣を渡す 「くれるの!?」 「ああ、おれにはもう必要ないからな・・・それじゃあお元気で!」 タピオンは故郷へと帰っていった シグナム「はは・・・・」 笑みを浮かべ、大空を眺めるシグナム エンディング この 青い星は 今 愛に抱かれ…光る 嘘じゃないの 夢が踊る地球を 汚す者は 私がだまっちゃいないの カッ飛びのパッション リリカルなのは デバイス使えば 煙の様に消える 今度の敵にゃ びっくり仰天しちゃうの (GO!)油断しないで (JUMP!)ヴィーダシグナム (GO!)もし仲間が (KICK!)傷ついても 最後には この私がやらなくちゃ誰がやるの 嘘じゃないの お遊びはここまでなの 見せてやるの 超魔道師パワー スッ飛びのファイト リリカルなのは エンディングのシーンで未来のシグナムが的に切りかかり、真っ二つに切断するかっこいいシーンあり 単発総合目次へ DB系目次へ TOPページへ
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実はプレシアはフリーザの陰謀で動かされていたという設定 ストライカーズから数年後の話 フェイト「ざ・・・ざまあみなさいフリーザ・・・こ・・・ここにいるのが貴様の最も恐れていた 伝説のスーパー魔道師・・・貴様は終わりよ・・ははははは」 ビームで胸を貫かれるフェイト なのは「フェイトちゃん!!」 フェイト「なのは・・・甘さをなくして・・・甘さをなくして非情になればなれるはず・・・伝説のスーパー魔道師に お願いなのは・・・私とお母さんの・・・仇をとって・・・魔道師の手で・・・」 フェイト死亡 なのは「フェイトちゃんのこと大好きだけど、非情に徹するなんてできないの・・・」 その後、なのはたちの奮闘により、フリーザは倒れたかに見えたが・・・ ハヤテ「はっはっは、はやく傷ついたみんなを完治して久しぶりにみんなで・・・ ぁぁぁ・・・・フリーザや!!!」 フリーザはシグナムの胸を貫く。そしてはやてを空中に浮かせて・・・・ なのは「やめて!!フリーザー!!!」 はやて「なのはちゃーん!!」ドゴォーン・・・・ フリーザ「くっくっく、さて、次はどいつかな!?まったく魔道師とは弱弱しい連中だ!」 なのは「ゆるさない・・・よくも・・・よくも・・・クッ・・・クゥゥゥ・・・エァァァァァァァ!!!」 なのはの髪の毛が逆立ち、金髪になる。そして黄金のオーラが・・・ なのは「ルシエ・・・とっととみんなをつれてここから消えて・・・」 ルシエ「で・・・でも・・・」 なのは「私の理性が残っているうちにさっさと消えるの!!!」 ルシエ「はい!・・・ありがとう、高町なのは教官・・いや、伝説のスーパー魔道師高町なのはさん」 フリーザ「逃がすものか!一匹たりとも生かしてはおかん!!」 なのは「いい加減にしなさい・・・罪もない人々を殺して・・・はやてちゃんまで・・・」 なのははもはや魔法を使わなくても自らの体術とエネルギーだけで戦えるようになっていた スーパー魔道師とは魔法の詠唱時間がなくなり、ふつうにエネルギー団を発射できる上、強靭な肉体とエネルギーを得ることができるのだ なのは「わたしは怒ったの!!フリーザ!!!!」 フリーザ「な・・・なにものだ貴様!!」 なのは「とっくにご存知なんでしょ?あたしはあなたを倒すためにミッドチルダからやってきた魔道師 穏やかな心を持ちながら激しい怒りによって目覚めた伝説の魔道師・・・ スーパー魔道師高町なのはなの!!!」 フリーザ「いいだろう・・・ならば100%のフルパワーで粉々にしてやる!あの魔道師のようにな!!」 なのは「あの魔道師のようにぃ?はやてちゃんのことか?はやてちゃんのことかーーー!!!」 そして、激闘の末、フリーザは下半身と腕を切断された状態に・・・ なのは「あなたらしくない惨めな最後だったわね・・・あたしは帰る あなたは生きて命のありがたみを知ればいいの」 フリーザ「タ・・・たのむ・・・たすけて・・・助けてくれええええ!!」 なのは「偉そうなこと言わないで!!あなたはそうやって命乞いをしてきた者を何人殺してきたの!!? ・・・・あたしのエネルギーを分けてやったの・・・あとは勝手にして・・」 フリーザ「俺が宇宙一なんだ・・・だから貴様は・・・俺に殺されるべきなんだ!!!」 なのは「・・・・キッ・・・・バカヤローなのおおおおお!!!」 単発総合目次へ DB系目次へ TOPページへ
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機動六課ヘリポートにて ヴァイス「な、なんだよ、俺が何をしたって言うんだ!!」 ヴィータ「まあそう怖がるなよ・・・これは高町教導官の命令でな・・・恨むならなのはを恨めよ・・・」 ヴァイス「う、うわあああああああああ!!!!やめてくれえええええええ!!!」 なのはとあの騎士達 クロノ「機動六課~、機動六課~、リリカル~」 なのは「あ、お昼時を告げる提督の甘いささやき声だ」 スバル「クロノ提督だったんですかこの声・・・」 なのは「スターズ午後の訓練ははやてちゃんの広域呪文講義かぁ・・・どんな風に寝ようかな」 ティアナ「寝ちゃ駄目ですよ!?部隊長何故かはりきってるんですから寝たら傷つきますよ!」 なのは「そだね、はやてちゃんも頑張ってるし・・・しょうがない、普通に寝よ」 ティアナ「だから寝ちゃ駄目ですってば!!」 スバル「御飯食べましょーよー」 なのは「あれ?ヘリポートがなんか騒がしいね・・・」 ヴァイス「うおおおおお!!!おおおおおん!!!おおおおおおおん!!」 ティアナ「ヴァイス軍曹が本気で泣いてる・・・」 スバル「どうしたのかなぁ?きもちわるいね」 ティアナ「アンタさりげなく酷いわね・・・」 エリオ「あんまり泣かないで下さい・・・」 キャロ「塗装だけならまだいいじゃないですか」 ヴァイス「でも!俺の・・・俺のストームレイダーが・・・うああああああ・・・」 なのは「うわぁお、ストームレイダーが赤と黒のツートンカラー、フェイトちゃんどうしたのコレ」 ティアナ「きんもー!」 ヴァイス「どうしたもこうしたも!あんたが命令したんじゃないのか!!昼前にスターズ副隊長がやってきていきなりこんな事を・・・!!」 一同「!!」 フェイト「そ、そんな馬鹿な・・・」 エリオ「いや、この前ヴィータ副隊長はなのはさんにやられてますし・・・」 キャロ「逆恨みでしょうか・・・」 ティアナ「それに、部下の不始末は上司の責任・・・なのはさんが糾弾されてしまいます」 スバル「そんな・・・なのはさん!どうするんですか!」 なのは「・・・赤と白色と・・・青で私カラーなの・・・」 (プシュー) 「やめれーーーー!!!!」 なのは「成程、ヴィータちゃんの仕業なんだね・・・全く懲りないんだから」 フェイト「さりげなく執念深いからね・・・」 なのは「しかしこんな大胆な行動に出るって事は、私と戦う準備は万全と言う事なのかな?ま、何をしようとヴィータちゃんは私に勝てないよ」 フェイト「だといいんだけど・・・って!なのは何持ってるのそれーーー!!!!」 なのは「あぁ!これは矢文!?てっきり髪止めかと思ったら矢文だったのーーーー!!!」 フェイト「全然似てねええええ!!!・・・あれ?これは手紙かしら・・・?」 『なのはのアホ!のうみそ!ハゲ!小鳥! 悔しかったら午後に訓練場に来い、は預かる ザフィーラ&ヴィータ』 フェイト「ザフィーラ・・・って・・・」 なのは「犬畜生(仮)だね、やっぱりグルだったんだ・・・」 フェイト「どうするの、なのは・・・?」 なのは「今日は五時から・・・ベルカの車窓から(再)があるの・・・明日にしてもらうの!」 フェイト「えええええええ!!!!」 ザフィーラ「ほ、本当に大丈夫なのか・・・」 ヴィータ「ビビってんじゃねーよ、こいつの威力は折り紙つきだ・・・それにお前だって最近の扱いには辟易してるだろ?」 ザフィーラ「たしかにそうだが・・・お、来たか・・・」 シグナム「なんだ?今日は午後は私は訓練じゃない筈だが・・・?」 なのは「まぁまぁ・・・いいからいいから」 ヴィータ「来たみてーだな」 なのは「ごめんね遅れてー!」 ヴィータ「げっ!」 ザフィーラ「シグナム!」 シグナム「ヴィータ?ザフィーラ?何で此処に・・・?」 ヴィータ「な、なんだよ、仲間連れとは魔王らしくねーな」 なのは「うん、今日は構っている暇は無いの、明日にしてくれるかな?」 ヴィータ「ふざけんな!逃げるってのか!?」 なのは「まぁまぁ、代わりに・・・ シグナムを置いていくから好きにして!」 シグナム「何ーーー!!私をその為に呼んだのかーー!!」 フェイト「なのははシグナムを真の騎士だと認めるから任せるんだよ・・・?」 シグナム「了解した、此処は任せろ!テスタロッサ!」 フェイト「(ごめんね、シグナム・・・)」 なのは「それじゃ私はこれで・・・」 ヴィータ「まてよ、もしかして怖いのか・・・?あたしに負けるのが・・・」 なのは「!!」 ヴィータ「そりゃそうだよな、機動六課最強の隊長が副隊長に負けたとあっちゃ、もう魔王も形無しだよな・・・」 なのは「ヴィータちゃんじゃ・・・無理なの」 ヴィータ「どうかな?」 なのは「・・・フェイトちゃん」 フェイト「シグナム、ベルカの車窓から(再)・・・録画出来る?」 シグナム「ああ、シャッハに電話して頼んでおこう」 なのは「お願いね・・・」 シグナム「何、お安いご用だ」 ヴィータ「準備はいーみてーだな」 なのは「いつでも、お先にどうぞ」 ヴィータ「なら行くぜ!アイゼン!フォルムツヴァ・・・」 なのは「エクセリオーーーーン!!!!」 ザフィーラ「ぬわああああ!!汚ねええええええ!!!」 ヴィータ「い、今だザフィーラ!」 ザフィーラ「そ、そうか、スイッチポチッとな・・・」 なのは「バスターーーー!!!」 (ぶしゅーー・・・) フェイト「出る前に排気してるーーー!!!」 なのは「そんな・・・ハッ!?」 ザフィーラ「あたたたたたたたたたたたたた!!!ほあたぁ!!」 なのは「げふぅっ・・・そんな、馬鹿な・・・なんで・・・魔法が・・・!!」 フェイト「あれは・・・ガジェット!!?」 ヴィータ「ふっふっふ・・・この前鹵獲した奴だ・・・改良されたAMFは範囲内のカートリッジによるブースト魔法を100%遮断する・・・ガジェット自身は動けないがな・・・これでお前はデバイスによる魔法を使えない!」 なのは「馬鹿な・・・なんて事・・・」 ・・・・・・・・・・・・ なのは「ヴィータちゃんは全部の魔法が使えないの・・・!」 指先クロスファイアーシュート!!!! シグナム「ああ、そうだ、では頼むぞシャッハ・・・」 ザフィーラ「そうだね・・・魔法が使えないと・・・こっちは全く攻撃できないよね・・・」 ヴィータ「・・・何か違うなって・・・思ってたんだ・・・」 シグナム「そうそう!βの2で!」 (ドグシャー・・・) なのは「ふぅ・・・危なかったの・・・」 フェイト「よかった・・・もう駄目かと思った・・・なのは」 なのは「フフ、髪止めも返してもらったし・・・」 フェイト「あとはベルカの車窓を待つばかりね」 なのは「それにしてもヴィータちゃん・・・いい試合させてもらったよ・・・だからお礼にこの言葉を送るよ・・・ おいどんは 冥府魔道を いくゴワス」 byなのは 前へ 目次へ 次へ
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■ 「……お、やっと来たか」 大量のデスクが並ぶオフィス。 そこでティアナ達を待ち受けていたのは、紅い髪を三つ編みに括った少女だった。 「遅れてすいません!」 「シグナムから話は聞いてる……と、エリオはどーした?」 「ええと、その……」 ■ 「じゃあ、私たちはこれで。行くわよスバル、キャロも」 「……あの、僕は?」 「おまえは私とだ。逃げるな」 「僕にも書類が―――」 「何、五分とかからん―――加減はしてやる覚悟しろ」 絶叫。 ■ 「……とまあ、こういうことがありまして」 「何やってんだアイツ……まあ、エリオが来たら少し手伝ってやれ」 「了解しましたー」 三人がそれぞれの席に着き、端末を起動しディスプレイを展開する。 それらには書類などの文書ファイルが表示されているが、自分のそれには無数のインジケータと多アングルの動画が表示されている。 余剰スペースに表示された発注書などを処理しつつ、動画の内容を頭に入れていく。 ……『予習』はしっかりしとかねーとな…… ■ 「感熱、電磁系のセンサが焼き切れました……高かったのに……」 「……何か分かったことは?」 「魔力反応は完全にゼロ……あの威力で純粋物理砲撃ですよ、信じられない。 詳しい原理は分かりませんけど、私の知識に類似兵器はありません」 「AMFが効かないのも当然、か」 管制塔に立つシャーリーとなのはは、先程の模擬戦のデータを処理していた。 サーチャーからの映像とデータを編集し、順次送信していく。送信先はヴィータのデスクだ。 男が行った最小動作での連続回避を編集しつつ、 「にしても凄かったですねー」 「そうだねえ……ちょっと真似できないなあ。あれは」 する必要もないけどね、と続け、自分が受け持つ分の最後の入力を終える。 「さあて、私もアップしとかないと」 「シミュレータの使用申請は出してます。設定は?」 「パターンCの市街地、エネミーは合計戦力値で1200前後」 「編制、戦術の詳細と勝利条件は?」 「戦術はBC36O……『基本戦術・市街地・多対一・敵機撃墜のみ』に六番の乱数を追加。 配置と編制は八割までデフォルトで残りを乱数決定。勝利条件は、互いに敵戦力の殲滅」 「了解しましたー……って、大丈夫なんですか? 乱数かなり強くありません? イレギュラー増えますよ?」 「今回はそうじゃないとアップにならないし…… 三分後に開始お願い。カウントは十秒前からね……行くよ、レイジングハート」 『Yes,my muster』 桜色の輝きが、市街地へと組みかえられたフィールドの中央へと飛翔。 曲芸飛行を繰り返し、高速機動戦へと身体を慣らしていく。 三分近くそれを続け着地した途端、シャーリーの声が響く。 「カウント開始します。9、8、7……」 周囲に次々と浮かび上がる無数の影。 巨大な球形や楕円形、空を舞う三角錐―――ガジェットドローン。 「……6、5、4……」 オートスフィア―――自動制御の浮遊、自走銃座が無数、銃口を覗かせる。 「……3、2、1……」 その全てに青い光が蓄積され――― 「―――Zero!」 放たれた。土煙がもうもうと舞い上がる。 そして、それを裂いて現れた、二十を数える桜色の誘導魔弾。 ―――戦力査定試験まで、あと三時間強。 ■ 「……ということで、我々魔導師がリンカーコアという器官によって精製、体内に蓄積する魔力が、魔法の動力源となるわけだ」 講習室―――机/椅子に座る自分/端末から呼び出したテキストエディタにメモを取る。 教壇に立つシグナム二等空尉/ノンフレームの伊達眼鏡/縦横二メートルのディスプレイ×二に資料を表示/説明。 「剣や槍……デバイスとやらは、外部接続式の増幅装置か?」 「力に方向性を与えるための制御装置……砲身だ。 一応、白兵戦用の武器も兼ねているが、多くの部隊では近接戦闘を想定しない長杖が主流だな。 AIによって自立稼働するインテリジェントデバイスと、データベースに徹するストレージデバイスに大別される。 状況判断に処理速度を割く分、ストレージの方が確実かつ高速な発動が可能だが、発動タイミング等は術者頼りだ。 魔法を制御する補佐も、ごくごく単純なもの以外は不可能……コストは遥かに低いのだがな」 「あの空薬莢は何だ?」 「カートリッジ……予め魔力を圧縮しておいた弾丸を開放することによって、魔力の不足を補うシステムだ。 魔力蓄積能力において劣るベルカの民が生み出した……必要は発明の母、ということだな。 汎用性を捨て、ミドルレンジからクロスレンジでの対人戦闘と一撃の威力に特化したベルカ式の魔法と相性が良い。 おまえが闘った魔導師……スバルと私はその形式だ。エリオもだな」 「……モンディアル三等陸士は大丈夫なのか? 鳩尾に一発いいのが入っていたが」 「少し、考える所があってな。完全に敗北した経験のないエリオには良い薬だ」 記憶―――自分/ギャローズ・ベルでの敗北/闇の中で得たもの/自由意志を持つ存在であるという自己認識。 記録―――オリジナル達/敗北/挫折を繰り返す度に、新しい強さを得て進んでくる。 「自分の弱さを自覚する、か……」 「そういうことだ……と、話が逸れたな。 ベルカ式と二分するのがミッド式だが、こちらは汎用性重視……戦闘においてはロングレンジからミドルレンジでの射撃・砲撃戦を主とし、搦め手も多数ある。 闘う際には注意しておけ……忘れるなよ」 妙な含み/笑み/警告―――記憶の隅に留めておく。 講義内容―――魔法の基礎動作原理/戦術利用について/基本的な部隊編制について/運用に関する法律について/etc。 試験についての質問―――ミッション形式の模擬戦だという返答。詳細は直前に伝えるとのこと。 時計/十一時―――残り二時間。 ■ 十二時二十分。午前の分の書類を片付けた四人は、食堂へと向かう通路を歩いていく。 「うう、まだ鳩尾が痛い。吐くかと思った……食事はパスで」 「エリオ君、大丈夫……?」 「湿布、結構匂ってるね。八箇所だっけ?」 「……で、シグナムさん相手にどれだけ持ったの?」 ティアナの問いに、エリオは右手の指を一本二本と上げていき、四本で止めた。 「四分? 三十分ぐらい遅れてきたのに? それはそうと、副隊長と一対一でそれなら上出来じゃない」 「いえ、四秒です。最初の一発……首狙いのは何とか防いだんですけど、後はもう何がなんだか。 で、最後に後ろ回し蹴りが鳩尾に入って吹っ飛ばされて、気付いたら医務室でベッドの上でした」 「……四秒?」 「逃げる暇もないわね……」 はあ、と四人揃って溜息を吐く。 「あたし達は、まだまだ弱いんだろうね……」 「ですねえ……と、アレックスさんの試験、十三時からですよね。丁度昼休みですし、見に行きませんか?」 「いいわね。特にやることもないし……スバルとエリオは?」 「賛成ー」 「じゃあ、僕が許可貰ってきますね」 ―――あと、四十分。 ■ 最後の一体、狙撃用の大型オートスフィアが、魔力弾で滅多刺しにされ爆発四散した。 「第十五セット……終了っ!」 「タイム、八分十七秒……順調に縮まってますね。リザルトの詳細を出しますか?」 「後で纏めて見るよ。ヴィータ副隊長は?」 「さっき連絡がありました。そろそろ仕事が終わるから―――」 「もう来た……なのは、幾ら何でも準備運動に気合入れすぎだ。公開試合じゃねえんだぞ?」 「まあ、それもそうなんだけど……避け損なったら痛そうなんだよねえ」 「推定温度で一万度超過の物理砲撃なんか、あたしらの防御は想定してねえからなあ……」 「バリアジャケットの処理書き換えで輻射熱は防げるようにしましたけど、直撃したら死ねますねー」 「頑張って避けるしかないね……ヴィータちゃん、準備運動は?」 「いらねえ、なるべく昔の通りの感覚で闘いてぇからな」 現在時刻、十二時三十分。 試験開始は、刻々と近付いていた。 ■ 前へ 目次へ 次へ
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ネクロス 共通能力で超次元ゾーンからウエポンを呼び出す種族。ドラグハート・ウエポンとスピリット・ウエポンがこれに該当する。また、この種族単体クリーチャーは存在せず、他の種族1つと組合せられる。 憑我 ルテン R 水 (6) クリーチャー:サムライ/ネクロス 5000 ■このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、水のコスト4以下のウエポンを1枚、自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出す。(それをこのクリーチャーに装備して出す。) ■このクリーチャーが相手のシールドをブレイクする時、ブレイクした枚数だけ山札の上からカードを引く。 命名ルールはコストによって変わる。コスト6は「憑我~」、コスト7は「〇憑我~」、コスト8以上は7と同じか「〇〇憑我~」となる。これは進化や多色であっても同じである。 背景ストーリーでは、ネクロスとして生まれてきたことがわかる。そのため、ハンターやアウトレイジなどの他の種族の命名ルールは無視されている。 作者:V=ε 評価 名前 コメント